iPhoneとAndroidのアプリでは、開発の流れ自体は似たようなものですが、その細部は違います。たとえば開発者登録を行う先はそれぞれAppleとGoogleですし、配布先もApp StoreとGoogle Playです。細かい手順や開発環境なども違います。両方を一度に説明すると混乱しますから、今回はiPhoneアプリの開発の流れだけをご紹介しますが、Androidアプリを作ろうと考えている方も大まかな流れは参考になるはずです。
iPhoneアプリの開発には、一つ大きな障壁があります。それは、現時点ではMacが無ければ実質的には開発ができないということです。
Windowsでもアプリを作ることだけはできますが、それをiPhoneでテストしたり、App Storeで公開することはできませんから、Macが無ければまず購入する必要があります。快適な開発を望むなら大画面で高速な物がおすすめですが、とりあえず作ってみたいということであれば安い物でかまいません。ただし、OSに関しては「OS X10.7」以上でなければ、iOS5以上の一部の機能(通知センターなど)を使ったアプリが作れないことに注意してください。また、開発にはiPhoneのシミュレータも利用できますが、マウスでは快適に操作できても、実機(実際の端末)では親指が届かないといった問題が起きる可能性もありますから、可能なら実機を用意しましょう。
続いて、「iPhone SDK」を開発者向けサイトからダウンロードします。この時Apple IDが必要となりますから、まだ持っていなければアカウントを作成しておきましょう。画面にしたがってiPhone SDKをインストールすると、Xcodeをはじめとした開発ツールも同時にインストールされます。
準備ができたら、さっそくXcodeを起動してみましょう。
Xcodeは英語版しかありませんが、日本語の解説サイトや解説書などを熟読するよりも、実際にチュートリアルをこなしていくことで使い方を学んでいく方が良いでしょう。今回は流れの説明ですから、コーディングについての説明は省略します。
Xcodeで作成したアプリを実機でテストする場合、まず「iOS Developer Program」に登録しなければいけません。これには年会費(2015年6月の時点では11,800円)が必要です。
次に、「iOS Dev Center」でテスト用端末を登録します。「Device Name」は好きな名前でかまいませんが、「Device ID」はその端末固有のIDです。これはiTunesを使えば調べることができます。
続いて、アプリ固有のIDである「App ID」を登録します。
さらに、開発用の証明書とプロビジョニングプロファイルを作成し、この二つをダウンロードしてXcodeに登録します。この状態でビルドすれば、登録ずみのテスト用端末にインストール可能なパッケージファイルが作成できます。登録という作業がとても多く、未経験の方は面倒と思われたかもしれません。しかし、登録の大部分は一度だけで良いものですし、環境の構築も同様です。これも転職のための勉強と思って、すこしだけ我慢してください。